近年の生成AIは驚くほど高性能になり、プロンプトを入力するだけで実写並みの映像まで作成できるようになっています。さらに、元となる画像を用意することで、一貫性のある映像やイメージ通りのアニメーションを作ることも可能です。
とはいえ、すべてをAIに任せるのではなく、背景や演出の一部、動きの分割など部分的に活用するのがおすすめ。今回はCorelDRAWで作成したイラストを用意し、Googleの生成AI Veo 2 を使って実際にキャラクターを動かしてみました。
1. 生成AI活用の手順
ステップ1:元画像を用意する

- グラフィックツール(CorelDRAW、Illustrator、CLIP STUDIO、Blenderなど)でPNGまたはJPEG画像を作成
- 著作権に注意しつつ、キャラクターやロゴの素材を用意する
今回は当コンテンツで使用している挿絵(セッカちゃんの振り向きイラスト)をサンプルにしました。
ラフなモノクロデザインでも、アニメーションが成立するのかを検証します。
ステップ2:Google AI Studioを開く

- ブラウザ(Chrome推奨)から Google AI Studio にアクセス
- Googleアカウントでログインし、画面左メニューの 「メディアを生成する」 を選択
- 動画を作成する場合は 「ジェネレーティブビデオ」 を選びます
※無料枠の範囲内でもテストが可能です。
2. プロンプトと画像を追加

生成する動画のイメージをプロンプトに入力します。
日本語でもOKですが、英語の方がニュアンスが伝わりやすい場合があります。
さらに、アニメーションさせたい画像を追加。
Google AI Studioは、記事執筆時点の無料版では1枚の画像しか使えませんでした。
複数のカットをつなげるには有料プランや他のツールが必要です。
3. 今回の実験:セッカちゃんを動かす
当初は以下の4枚カットで短いアニメーションを作る予定でした。
- 傘を持ったセッカちゃんが立っている
- 傘を投げ上げる
- 居合切りの動作
- ロゴが表示される
しかし今回は1枚のみでテストすることになりました。
プロンプトは短めに 「サムライ風の女の子が振り返る」 と入力。
設定はデフォルトのまま以下を指定
- 結果の数:1
- アスペクト比:16:9(横長)
- 動画の長さ:8秒
- フレームレート:24FPS
4. 生成結果と気づき
20〜30秒ほどでアニメーションが生成されました。
ラフなイラストでも風やまばたきなどの動きが自然に加わっており、形状認識の精度は高い印象です。
一方で、振り向き動作や衣装の動きに不自然さが残る場面もありました。
キャラクターの特徴を掴み切れていないのは、参考画像が1枚のみだったことも大きいです。
→ 元画像が複雑で情報量が多い方が、違和感のないアニメーションが作れる可能性があります。
5. 生成AIの完成度と活用ポイント
Veo 2を使った結果、1枚のイラストからでも形状を認識してアニメーション化できるのは非常に強力だと感じました。
AIが得意なのは以下の部分
- シンプルな動きの追加(風、まばたき、揺れなど)
- 映画のような質感の自動付加
- 背景演出や細かな効果の追加
一方で、複雑な演出やキャラクター固有の動きは、複数カットや人間による調整が必要です。
6. CorelDRAWなどグラフィックツールの強み
生成AIだけで完結させるよりも、2D/3Dツールと組み合わせて使うのがおすすめです。
- CorelDRAWやIllustrator・CLIPSTUDIOなどでキャラクターやロゴをデザイン
- Blenderなどで3Dモデルを作成し、角度や動きをコントロール
- 最後に生成AIでアニメーションや演出を追加
このように「AIに頼る部分」と「自分でコントロールする部分」を切り分けることで、オリジナリティの高いコンテンツを効率的に作れます。
まとめ
生成AIはラフスケッチやモノクロ画像でもアニメーションが可能ですが、
1枚の画像だけで完結させるのはまだ難しい部分もあります。
CorelDRAWや他のグラフィックツールを使ってしっかり素材を用意し、
AIは演出の補助ツールとして使うのが現時点での最適解です。


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