【CorelDRAW】折れ線を使って線画風のデザイン

CorelDRAWの折れ線ツールを使用することで、簡単に線画風のデザインを作成できます。

線画風のデザインは、ペンで描いたかのようなタッチでありつつ、漫画と写実的な表現の中間のスタイルを実現し、対象物の形状や輪郭をシンプルで明確に表現します。
また、デジタルで描かれた線画は、すっきりした白黒のイメージ以外にも、色付けによって強調させることも可能です。

目次

はじめに 図の大まかな形を描く

まず、描きたい図形のデッサン(下絵)を作成します。

使用するツールはCorelDRAWのアートメディアであったり、他のペイントソフトを使用しても構いません。

マウス、手書き、スタイラスペンなどを利用して、図形の大きさや位置などをおおまかにでもかまいませんので作図しておきます。

最終的には「ロゴ」や「装飾文字」、さらには「エフェクト」などを追加することを考える場合、この段階で下絵とのバランスも考慮しておくと良いでしょう。

描いた下絵をパーツごとに分解する

パーツを個別に作成しておくと、後から細かい位置や重なりを調整したり、線や色を後から編集しやすくなります。

図をパーツごとに分けるメリット

  1. 調整の容易性
    パーツごとに分割することで、後から個別のパーツの位置やサイズを容易に調整できます。
  2. 編集の柔軟性
    パーツの個別の作成は、後から特定の要素を修正したりスタイルを変更したりするための柔軟性を提供します。
  3. 効率的な制作
    パーツを分割して作成することで、複雑な図形でも個別の要素に焦点を当て、より迅速に効率的に制作できます。
  4. アニメーションや変化の追加
    パーツごとの分割は、後でアニメーションや変化を追加しやすくします。各パーツに異なる動きや変化を加えることができます。

今回の例では「リンゴ」を題材にしているため、パーツは「リンゴ本体」、「つる」、「葉っぱ」の3つに分けています。

実際の紙を使用して図を描く場合、重なり合う部分は描かないことが一般的ですが、デジタルグラフィックにおいては、パーツを分けて制作することにメリットがあります。

描きたい図形のアウトラインを「折れ線」で描く

リンゴのように、なめらかな曲線が多い図形は、ベジェ曲線を組み合わせて作図するのが一般的ですが、CorelDRAWでは直線を使って、おおまかなアウトラインを作図し、あとでバランスをみながら曲線に変換することができます。

まず折れ線ツールを選択し、先ほどパーツごとに分けた下絵を、ざっくりした形状で作図します。
上の図は、太い青線が折れ線を表しています。
このとき注意して欲しいのは、折れ線を作図する際に、最後のポイントを書き始めのポイントを使って「閉じる(つなげる)」ことです。これによって、それぞれのパーツは「閉じた面」となり、塗りつぶしや他の図形との重ね合わせがしやすくなります。

なお、パーツごとの輪郭が完成したあとは、下絵として使っていた最初の図は削除してしまっても構いません。

「形状」ツールを使って輪郭を整えます

今後は各パーツの輪郭を形状ツールを使って修正していきます。このとき折れ線を選択しすべてのノードを選択曲線変換を使うと、一括で直線を曲線に変換できます。

「リンゴ本体」・「つる」・「葉っぱ」の輪郭が、なめらかになるようにノード(パス)、セグメントを調整していきます。
曲線に変換された部分に、マウスカーソルを近づけると、カーソルアイコンが変化しますので、マウスを使って位置や形状を編集していきます。

このとき、可能であればノードの個数をなるべく少なくするようにしておきます。ベクターグラフィックはノードの位置は線が折れるポイントとなっているため、自然なカーブを描きたい場合に、ノードは少ない方が違和感を減らすことができ、データの容量も削減できます。ノードを追加したい・削除するには、ノードを選択した状態で、マウスを右クリックしてメニューを選択して下さい。

輪郭を整えた図形を分かりやすくしておく

パーツごとに整えた図形をわかりやすくするために、一旦塗りつぶしを行います。

図形を塗りつぶすことで、正確に「閉じた面」になっているかを確認します。また、線画では通常、輪郭に「太い線」を使用し、線に強弱を付けることでインパクトを与え、漫画やイラストのような表現が可能です。

輪郭に沿って細かい線を加えていく

図形ごとに、細かい線を加えていきます。線の描き方は、先ほどと同じように「折れ線」と「形状」ツールを使って行います。線の太さは輪郭よりも細い線を使います。

例えば「リンゴ本体」には「等高線」のような丸みをおびた曲線、「つる」には枝の角張ったような線、「葉っぱ」には「葉脈」などの特徴を線で表現していきます。

線が集中している部分は、高さや奥行が急激に変わっていることを表し、線の間隔が広い部分はのっぺりとした面になります。

この例では「りんご本体」を「縦の線」で描いていますが、「縦と横の線」や「斜めの線」でも構いません。

陰影を加えたい場合には

今回の例では、物体の形状や特徴を線で表現していますが、「陰影」は含めていません。
陰になっている部分を表現するには、「塗りつぶし」や「ハッチング(パターン)」・「斜線」・「かけ網」・「トーン」などを使うのがおすすめです。
線画は線や陰影を重ねることで写実的な表現が可能になります。

図にかすれ具合やハイライトを加えます

ここまで描いた図形に、手書き感やかすれ具合を加えたい場合は消しゴムツールを使って、線の一部を消すことができます。
また「リンゴ本体」が丸く、光が当たっているような表現を与えることもできます。

パーツごとの修正が完了したら、各パーツごと(「リンゴ本体」・「つる」・「葉っぱ」)グループ化しておき、グループ化した図形は、表示する順番をオブジェクト重ね順を使って、葉っぱやつるが前面になるように設定しておきます。

パーツを組み合わせて完成!

ここまで作った図形の位置を調整すれば完成です!

線の太さや塗りつぶしの色を、自由に調整することができます。
線画のタッチで、古い世界地図や「不思議の国のアリス」のようなレトロな表現をしたい場合は、淡い色で塗り潰すことでそれらしい雰囲気を演出することもできます。

上の図は、まだ書きかけのものですが・・
リンゴを描いた同様の方法を使って、水差しやテーブル・花などを書き込んでみても面白いかもしれません。

この図は3DモデルやCGをベースにしたものではなく、下絵を描き、直線と形状のツールだけを使って描いたベクターグラフィックです。
操作の難しい3DモデリングソフトやCGソフトを使わなくても
右側の水差しのように、曲線が集中している部分は線の間隔が狭く、広い面では感覚が広くなっているところや、図形のアングルなどを調整しながら「手描き感覚の線画」を描くこともできます。

アレンジとデザインの例

作成した図は、様々なアレンジが可能です。

上の例は「線画のアイコン」をイメージしたものです。CorelDRAWのシャドウツールやテキスト、矢印の図形、背景などを加えたデザインです。
線画はモノクロだけでなく、線を際立たせる表現にも役立ちます。

次に示すのは、繰り返しのパターンです。

線で描かれた図形は整然としており、シンプルで真面目な印象を与えやすく、部品の組み立て図面やスマートフォンの形状など、一目で情報を伝えるのに適しています。例えば、異なる形状の「キノコ」などを並べて、テキストで説明を加えて「手書きの図鑑」のように構成することも可能です。

また、背景に同じ図形を斜めに配置することで、真面目すぎずやや砕けた印象を演出することができ、企業のロゴや商品のアピールにも効果的です。

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