CorelDRAWは、主にロゴ・イラスト・バナーやSNS投稿・Webコンテンツ・名刺や印刷物などのグラフィックの作成や編集に適しています。
このソフトは使いやすいインターフェースと多彩な機能を備え、ビジネスやクリエイティブな分野で幅広く利用されており、初心者でも手軽に取り組むことができます。
Corel DRAWにはさまざまな機能がありますが、最初は全ての機能を覚える必要はありません。
この記事では、Corel DRAW初心者がすぐに実践できる基本的な操作方法を10項目を厳選して解説しています。
Corel DRAWの基礎知識
Corel DRAWは、ベクター形式のグラフィックソフトで、図形(オブジェクト)の情報を座標を使って描画します。
ベクター形式は図形のサイズによって画質が劣化せず、正確で滑らかな線を表現できます。また画像が複雑であってもファイルサイズは比較的小さくなります。
一方、写真やデジタルペイントなどの画像はラスター形式と呼ばれ、ピクセル単位の色情報を使用して画像を表現します。写実的で細かい画像を表現できますが、解像度が低い場合、拡大すると画像がカクついたりぼやけることがあります。
COREL社には、写真編集ソフトPaintShop ProやデジタルペイントソフトPainterもあり、画像の用途によってベクター形式とラスター形式をソフトによって使い分けたり、データを相互にやり取りすることで、作業をより効率的に行うこともできます。
→ ベクターグラフィック(SVG)がロゴやイラスト制作に適している理由
→ ベクター形式とラスター形式の違い
Corel DRAWの基本画面
Corel DRAWを始める前に、ソフトウェアの基本画面の構成について理解しましょう。
これは作業を効率的に行なううえでの基盤となります。
① メニューバー
メニューバーはCorel DRAWの主要な機能が配置されている場所です。ファイルの新規作成、保存、編集、表示などの基本操作がここから行われます。
② 標準ツールバー
標準ツールバーには一般的な操作に使用される基本ツールがあります。新規作成、開く、保存、切り取り、コピー、貼り付け、ルーラーの表示やスナップの切替えなどのアイコンボタンが配置されています。
③ プロパティバー
プロパティバーは選択したオブジェクトやツールに関連する詳細な設定を行うための場所です。例えば、線の太さや色、フォントの設定などがここで変更されます。
④ ツールボックス
ツールボックスにはさまざまな描画ツールが収められています。線を引く、四角形を描く、テキストを挿入するなど、基本的なデザイン操作に使用されます。
⑤ 描画ウィンドウ
描画ウィンドウは作業しているドキュメントが表示される領域です。ここでオブジェクトや図形を描き、編集します。
⑥ ドキュメントパレット
ドキュメントパレットには使用しているドキュメントに関するカラーボックスが表示されます。
⑦ 操作のヒント
操作のヒントは特定のツールや機能を選択したときに表示され、その操作のヒントやショートカットが表示されます。初心者にとって便利な機能です。
⑧ ドッキングウィンドウ
ドッキングウィンドウにはさまざまなツールやコマンドを、タグを切替えて操作できるウィンドウを自由に配置することができます。例えば、プロパティやレイヤー、整列などがあり、効率的な作業を可能にします。
⑨ カラーパレット
カラーパレットは使用する色を選択するためのツールです。線や塗りつぶしの色を設定するときに使用され、デザインにおいて非常に重要な機能で、選択しているオブジェクトを塗りつぶす際にはマウスの左クリック、線の色を変更したい場合は右クリックを使用します。
→ デスクトップの色を変更する
ツール・オプション・カスタマイズ・外観
Corel DRAWのデスクトップや背景色を変更する方法
・Corel DRAWはアプリケーションのテーマ(ライト・中・暗・黒)を選択したり、デスクトップや背景色をユーザーのお好みで変更することができます。
・ツール→オプション→カスタマイズ→外観
【ツールボックス】に含まれる機能の一覧
Corel DRAWのツールボックスにはさまざまな作図ツールが格納されており、基本的な作図操作はこのアイコンボタンを使って行ないます。
先ほどの画面左端「④ ツールボックス」のアイコンボタンには、フライアウトと呼ばれる右下の小さな三角のマークがあり、クリックすると関連するツールの一覧が表示されます。
選択フリーハンド選択自由変形
切り抜きナイフ仮想セグメントの削除消しゴム
ズーム スクロール
フリーハンド 2ポイント線ベジェペンBスプライン折れ線ポイント曲線
アートメディアLiveSketchスマート描画
長方形3ポイント長方形
楕円形3ポイント楕円形
多角形星形らせん一般的な形状Impact toolグラフ用紙
テキストテーブル
平行寸法水平または垂直寸法角度寸法線セグメント寸法線3ポイントコールアウト
コネクタアンカーの編集
影等高線ブレンド歪曲エンベロープ押し出しブロック影
カラースポイトツール属性スポイト
インタラクティブ塗り潰しスマート塗り潰し
CorelDraw Windows ダウンロード版
CorelDraw Mac版 ダウンロード版
1.新規作成と既存のグラフィックデータを開く方法
Corel DRAWを起動後、新しく作図を始めるには、以下の方法があります。
- メニューバーのファイル→新規作成
- 標準ツールバーのアイコン新規作成をクリック
- 描画ウィンドウ上部にある「+」ボタンをクリック
新規ドキュメントのページ設定
「新規ドキュメント」では、「カスタム」を使ってページのサイズを自由に変更したり、レターサイズ・名刺サイズ・A0~A6サイズなどの印刷に適したサイズ、Webページやバナーサイズ、macbookやiPhone、facebook、YouTUBE、Googleビジネス、LinkedIn、Twitch、Pinterestなどの用途に適したページサイズを選択することもできます。
また、カラープロファイルやレンダリング方法を選択することもできます。
既存のグラフィックデータを開く方法
既存のグラフィックデータを開くには
メニューバーのファイル→開く
開きたいデータを、描画ウィンドウ中にドラッグアンドドロップする方法もあります。
Corel DRAWに互換性のある保存形式
AI/CLK/CDR/CDRT,CDT/CGM/CGZ/CMX/CPX/CSL/DES/DSF.DRW.DST,MGX/DWG/DXF/EMF/FH/FMV/GEM/HTM/MET/NAP/PAT/PDF/PIC/PCT/PLT/PPT/PS,EPS,PRN/PUB/SHW/SVG/SVGZ/VSD/WMF/WPG
※ファイルの互換性については、Corel DRAW2023を参照していますが、バージョンやエディションによって内容が異なる場合がありますので詳しくは製品の概要をご確認下さい。
2.直線と曲線のノード・セグメント・コントロールハンドル
図形(オブジェクト)は、おもに直線や曲線を組み合わせて作成することができます。オブジェクトを選択すると、上の図のようにノードとセグメントがハイライトされます。
四角はノード、ノード間を結ぶ線(直線または曲線)はセグメントと呼び、曲線にはノード間の方向を表す点線の矢印(コントロールハンドル)が表示されます。
Corel DRAWを使ってグラフィックデザインをする場合、オブジェクトごとにノードやセグメントの位置や方向などを編集しながら作業を行なうのが基本的な操作になります。
(フリーハンド・2ポイント線・ベジェ・ペン・Bスプライン・折れ線・3ポイント曲線など)
直線または曲線のオブジェクトを作成したあとからでも、ノードの追加や削除は可能です。
また、ノードの位置は「スナップ」と呼ばれる機能を使って、描画ページやオブジェクトの端点(ノード)やグリッド、交点、線上や垂線など正確に位置に合わせることもできます。
3.長方形・楕円形・多角形などの描画
長方形(正方形)や楕円形(円)、多角形や星形・らせん、基本的な図形を使って作図することもできます。
上の図は図形の一例ですが、複雑な操作は不要で、サイズや大きさをマウスで指定するだけですぐに作図することができます。
また、多角形や星形など図形は、辺の数を指定して正確に図形を作ることもできます。
図形を作成するときに、図形のサイズを正確に保持したい場合
図形のサイズを中央に合わせたい場合はSHIFTキーを押しながらマウスを操作し
図形の縦と横のサイズを合わせたい場合はCtrlキーを押しながらマウスを操作します。
またCorelDrawでは、図形オブジェクトの塗りを変更したい場合は、カラーボックスの色を右クリック
輪郭の色を変更したい場合は左クリックで行います。
図形オブジェクトのグラデーションや透明度を設定したい場合
図形オブジェクトを選択し、ドッキングウィンドウの「プロパティ」を使うと効率的です。
また図形オブジェクト同士の空間を塗り潰したい場合はスマート塗りつぶしが便利です。
4.テキストの挿入と編集
CorelDRAWでは、テキストの挿入や編集が直感的に行えます。
テキストの挿入
ページ上でテキストを挿入するには、ツールボックスから「テキストツール」を選択します。
ページ上でクリックすると、テキストボックスが作成され、カーソルが点滅します。ここにテキストを入力できます。
テキストの編集
テキストを編集するには、テキストツールを使用してテキストボックスを選択します。
選択したテキストボックス内でテキストを直接編集することができます。
フォントやスタイルの変更
フォントやテキストのスタイルを変更するには、テキストを選択した状態でプロパティバーまたはドッキングウィンドウ「テキスト」を使用します。
フォントの種類、サイズ、スタイル(太字、斜体など)を設定も行えます。
テキストの配置と整列
テキストボックスを選択し、オブジェクトの配置や整列ツールを使用して、テキストの位置や整列を調整できます。
またテキストの段落は、左揃え、中央揃え、右揃え、両端揃え、均等割付の指定や、文字間隔の設定もドッキングウィンドウを使って効率よく行うことができます。
また、記号付きリストや番号付きリスト、ドロップギャップ、タグを指定することもできます。
カーブや形状への配置
テキストはカーブさせたり、特定の形状に配置することもできます。
配置したテキストの編集や配置は、いつでもテキストの内容を編集することができ、カーブの要素をあとで変更してもテキストのカーブに反映されます。
テキストについて、もう少し詳しく知りたい方は
5.図形のグループ化とグループ解除
CorelDRAWでは、図形をグループ化することで、それらを一つのまとまりとして扱えます。
同様に、既存のグループを解除して個々の図形に戻すこともできます。
図形のグループ化
図形の選択
グループ化する図形を選択します。この操作はShiftキーを押しながら図形オブジェクトを個別にクリックするか、図形を範囲選択してまとめて選択することができます。
グループ化コマンドの実行
図形が選択された状態で、メニューのオブジェクトからグループ化を選択します。
または、キーボードで Ctrl + G を押します。
グループ化の完了
選択した図形が一つのまとまりになり、移動や変形、コピーや回転などがまとめて行えるようになります。
グループの解除
グループを解除する
グループ解除したい図形オブジェクトを選択します。
グループ解除コマンドの実行
選択したまとまりが選択された状態で、メニューのオブジェクトからグループ解除を選択します。
または、キーボードで Ctrl + U を押します。
グループ解除の完了
グループが解除され、各図形が個別に選択可能になります。
図形を選択する際に、他のオブジェクトが邪魔になる場合
複数のオブジェクトを選択する際など、既存のオブジェクトが邪魔になる場合があります。
その際は、既存のオブジェクトを選択し、マウス右クリック→ロック(ロック解除も可能)の操作を行うことによって、操作したくないオブジェクトを一時的に固定することもできます。
オブジェクトの重ね合わせや表示を調整したい
Corel DRAWでは、図形オブジェクトを表示する順番「重ね順」を変更したり、レイヤを指定することができます。
「重ね順」を編集して、オブジェクトを前面や背面に移動したい場合は、メニューからオブジェクト→重ね順を選択します。
6.図形オブジェクトの整列と配置
図形オブジェクトやテキストを使ってWEBサイトコンテンツや印刷物を作成するときに、各オブジェクトの配置を整えて見栄えを良くしたい場合があります。
オブジェクトの位置をマウスやスナップを使って指定する方法のほかに、ドッキングウィンドウの「配列/配置」を使って縦横の位置や、オブジェクトの感覚を均等に整える機能も便利です。
CorelDRAWのアカデミック版とエッセンシャル版もあります。
7.図形の結合や差分(ウェルド・トリム・切り抜きなど)
複数の図形オブジェクトをウェルド(結合・和)、トリムや切り抜き(もしくは差)を行いたい場合に、複雑な操作は必要ありません。(ブーリアン演算)
ドッキングウィンドウから「形状」を選択し、使用したい機能を選ぶだけで効果が得られます。
8.オブジェクト画像をフレーム内に収めたい
顔写真や風景などを、雑誌記事のように切り抜いたデザインをしたい場合は
既存の画像やオブジェクトを、他のオブジェクトを枠にして収めることもできます。
元のオブジェクトを選択後、メニューからオブジェクト→パワークリップの機能を選択し、枠にしたいオブジェクトを指定すると上の図のように仕上げる事ができます。
枠の元となるオブジェクトの形状は、長方形や楕円、テキスト文字など、複雑な図形でも大丈夫です。
パワークリップを使ってできること
9.線画やイラストの「はみ出た線」だけを簡単に消したい
漫画やイラストなどの作図をしたい場合でも、画像を拡大しながら「はみ出た線」を消す必要はありません。
はみ出た線だけを削除するには仮想セグメントの削除が便利です。
Corel DRAWではベクタデータを用いて画像を処理しているため、直線や曲線の線(セグメント)同士の交点も、計算によって把握しているため、消したい線をクリックするだけで「はみ出た線」は自動的に切り取ってくれます。
10.ドキュメントの保存とエクスポート
ドキュメントの保存
- メニューから保存
- メニューの「ファイル」→「保存」を選択します。または、キーボードで
Ctrl + S
を押します。
- メニューの「ファイル」→「保存」を選択します。または、キーボードで
- 保存先の指定
- ドキュメントを保存する場所やファイル名を指定します。フォルダを選択し、ファイル名を入力します。
- ファイル形式の選択
- ドキュメントの保存形式を選択します。デフォルトでは、CorelDRAWの固有のファイル形式(.cdr)が使われますが、他の形式も選択できます。
- オプションの設定
- 必要に応じて保存オプションを設定します。これには、バージョンの選択や圧縮オプションなどが含まれます。
- 保存
- 「保存」ボタンをクリックして、ドキュメントを保存します。
ドキュメントのエクスポート
- メニューからエクスポート
- メニューの「ファイル」→「エクスポート」を選択します。
- エクスポートオプションの選択
- エクスポート先やファイル形式を選択します。一般的な形式には、JPEG、PNG、PDF、SVGなどがあります。
- オプションの設定
- 必要に応じてエクスポートオプションを設定します。解像度や圧縮の度合いなどが調整できます。
- エクスポート
- 「エクスポート」ボタンをクリックして、ドキュメントを指定した形式でエクスポートします。
エクスポートのメリット
- 共有可能性
エクスポートを使うと、作成したデザインを標準的な画像形式に変換し、ウェブやソーシャルメディアで簡単に共有できます。 - 印刷や出力
デザインをエクスポートすることで、印刷用に調整できます。PDFや高解像度の画像形式に変換し、印刷業者に提供できます。 - 異なるアプリケーションとの連携(互換性の向上)
エクスポートにより、他のデザインソフトやプラットフォームとの互換性が高まります。 - ファイルサイズの軽量化
エクスポートすることでファイルサイズが小さくなり、メールやクラウドストレージで簡単に共有できます。
ベクターグラフィックをお楽しみください!
この記事を通じてCorelDRAWの基本的な操作方法をご紹介しましたが、実はまだまだ掘り下げて学びたい便利な機能がたくさんあります。Corel DRAWはベクターグラフィックを簡単に作成し、クリエイティブなデザインを形にするための優れたツールです。
CorelDRAWは広範なデザインニーズに対応できるソフトウェアであり、公式ドキュメンテーションやオンラインリソース、チュートリアルを活用することで、さらなるスキルの向上が期待できます。
ぜひベクターグラフィックを使ったデザインの世界をお楽しみください!
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